50代女性保育士:肩関節周囲炎改善例

2024.08.31

年代/性別/職業

50代/女性/保育士

初診時の状態

右肩関節周囲炎を訴えて来院。

運動時、熱感、夜間痛を訴えられている

肩関節の可動域も制限されていて屈曲150、外転120、結滞動作(背中に手を回す動作)ができないために下着をつける動作などができないことにストレスを感じている

見立て/治療計画

肩を一定以上動かすことが少なく、肩こりも酷い状態を長期間続けていたが放置した結果、肩の可動域の制限に繋がる。

矢状面の不良姿勢も強く、胸椎の後弯により肩甲上腕リズムが低下し、肩の外転や結滞動作が制限されている。

触診と可動域の確認を行ったところ棘下筋の機能低下と三角筋前部/中部の萎縮がみられた

肩甲骨の内転肢位をとれることを優先。

初期は僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋、腱板のトリガーポイントの除去をメインに行い、楽トレを用いてインナーマッスルの筋力強化を図る。

夜間痛が消失した後、肩甲骨モビライゼーションと肩甲下筋の強化を行い、肩甲骨の内転を定着させる。

屈曲、外転可動域がでてきたところで小胸筋にもアプローチを加えて胸郭を開けるようにして矢状面のアライメントを整えていく。

施術内容/経過

腰上で当グループの肩関節周囲炎に特化した治療を中心に緩和を図る

来院初期は夜間痛があり寝付くのに時間がかかっていたが6回治療後には夜間痛消失

2ヶ月目では外転180°まで改善。

4〜5ヶ月目で外転可動域は左右差が消失

結滞動作に関しては8ヶ月で消失した

まずは屈曲、外転の可動域改善のために週2回での来院を促し改善してきたところで週1回に頻度を落とし、結滞動作の改善を図るようにしていった

まとめ

肩関節周囲炎の初期に来院されたこと、早期改善治療への強い意欲があったためにまずは肩関節周囲炎の大まかな期間や症状を話して納得してから始めた。

動作の緩和に対しても順序立てて介入したことにより、治療の意味が伝わりやすく、患者さんの理解と協力を得ることができた。

結滞動作の改善には時間がかかることは考えられていたので当グループの技術顧問にアドバイスをいただきながら改善方向に持っていくように努めた

用語解説

・肩関節周囲炎:肩関節周囲の組織に炎症が起きる状態。

肩関節の周囲には靭帯、腱、粘液包などがあり炎症を起こすことで肩の痛みや運動制限を引き起こす場合がある。

肩関節周囲炎は肩の過度な使用、急激な運動、姿勢の悪化などが原因となることがある。

・肩甲上腕リズム:腕を上げる際の肩甲骨と上腕骨の動きの協調を指す。

腕を持ち上げる動作の中で肩甲骨が上方回旋し、上腕が外転する動きを示す。

正常な肩甲骨上腕リズムにより肩関節の可動域が広がり、効率的でスムーズな腕の動作が可能になる。

このリズムが乱れると肩の動きが制限され、痛みや障害が発生しやすくなる

・肩関節周囲筋肉、構造