セーバー病:サッカーオーバーユースによる改善症例

2024.09.01

年代/性別/職業

小学6年生 男子

初診時の状態

サッカークラブに所属していてサッカー中の走行や体育のランニング、シュートモーションに入る接地時、ヘディングした後の着地での左右踵部の痛み。

両側に痛みがでるが左側の方がより痛みを感じやすい

見立て/治療計画

踵部骨底部圧痛、軽度の腫れ、びまん性発赤、下腿三頭筋ストレッチの痛みがある

足底腱膜ストレッチ、右足趾開張足傾向、起床時歩行の痛みはなし

上記、事柄からセーバー病と判断しサッカー時での痛みの発症をなくすことに着眼しておこなっていく

施術内容/経過

臀部から足底にかけての施術をメインに行う

当グループ院の足関節に特化した治療を含めながら足関節押し込み、足趾トレーニングを行い、テーピングのヒールロックにて足関節を固定(除痛目的にて踵骨付近の脂肪体を圧痛部位に集中するため)

初診後には圧痛が消失するがすぐに最初

2週間経過:軽度の腫れ、発赤消失

圧痛、運動痛残存で開張足傾向による横アーチ補正・足底腱膜及び下腿三頭筋の筋緊張除去のため自宅でのストレッチ、トレーニング指導するがなかなか行えず院内のみで実施

3週間経過:ストレッチ痛消失、初診時の症状は圧痛のみ残存

オーバーユースが主たる原因となるためにサッカーの中止が1番望ましいが本人の意思としては行いたい

今後は疼痛除去及び動作痛消失、オーバーユースによる筋緊張をなくすための継続治療

開張足や長母指伸筋の過剰使用など足部のアライメント補正のためのトレーニングを院内のみならず、自宅でも実施するように再指導を行っていく

まとめ

セーバー病はFat pad、足底腱膜炎と誤診しやすいために年齢やスポーツ歴、動作痛と細かくヒアリング把握する必要性があり。

年齢的にオーバーユース傾向にあるために完全自制を求めるが本人の競技へのモチベーションもあるので部分的な自制を行いながら保護者に協力を依頼することも大事になってくる

用語解説

・セーバー病(踵骨骨端症):10歳前後の男児に多く見られる

踵の骨の成長板(骨端)が炎症を起こして痛みが生じる

運動後や長時間の活動後に痛みが強くなることが特徴で治療には休息やアイシング、痛みを軽減するための特定のストレッチや運動が推奨される。

・Fat pad(脂肪パッド):関節周辺にある柔らかい脂肪組織のこと

脂肪組織は関節や骨、筋肉を保護し衝撃を吸収する役割を果たす。Fat padは自然のクッションであり、機能が損なわれると痛みや機能障害が生じることがある。

膝、踵、肘に存在する

・足底腱膜炎:踵から足の指の付けにかけて伸びる足底腱膜に炎症が起こる状態

主な症状は朝起きた時や長時間座った後に立ち上がった時の踵の痛み。

長時間の立ち仕事やランニング、扁平足によるアーチ形成の低下、不適切な靴の使用が含まれている。

安静やストレッチ、アイシングで症状が改善しやすい

・足趾開張足:足の指が広がりすぎている状態を指す

足の横アーチが崩れ、足の指が外側に広がるため、足底部に痛みや疲れを感じやすくなる

この状態は長時間の立ち仕事や不適切な靴の使用が原因で起こることが多い

適切な靴選びや運動を行うことで症状の改善が期待できる

・足アーチ:足の骨が弓なりに形成する3つの曲線のことを指す。

内側縦アーチは内側にあるアーチで足の内側の骨と筋肉で支えられている

外側縦アーチは外側にあるアーチで安定性を出す

横アーチは足の前方にあるアーチで足の横方向の骨と筋肉で支えられている

これらのアーチは体重を分散し、衝撃を吸収する役割を果たし、足の機能とバランスを保つのに重要、アーチが崩れると足の痛みや疲労感、ケガの原因になる