右変形性膝関節症:50代女性柔道の大会に向けて

2024.09.03

年代/性別/職業

50代/女性/営業

初診時の状態

整形外科にて右変形性膝関節症の診断を受け、当院に来院

歩行時痛、階段昇降時痛、膝内側関節裂隙に圧痛、BOP(-)、腫脹、ラテラルスラスト、荷重時痛、正座可能、ロッキングなし、膝関節屈曲時痛、内側広筋の筋力低下

見立て/治療計画

患者さん自身、普段から右重心で生活している。

また柔道もしていることもあり右膝に負担がかかりやすくなっている。

骨盤のアライメントが崩れているため、圧迫が加わりやすいのが原因と考える。

膝周囲の筋緊張を低下させ疼痛を軽減し、膝関節の可動域を改善する。

大腿四頭筋(特に内側広筋)の筋力を向上させ、膝関節の安定化を図る。

大内転筋や前脛骨筋の筋力を増強させてラテラルスラストを改善する。

楽トレを使用してインナーマッスルを強化し体幹およびアライメントを維持しつつ、第三パッドを内側広筋に貼って膝の安定化を図る。これにより疼痛の再発を予防する。

現状にフォーカスよりも軟骨自体が摩耗し始めているので遅らせることと日常生活及び柔道を痛みなく元気にできるようにすることをゴールとして施術を開始する。

施術内容/経過

営業をしている都合で毎日外回りのために時間が許す限りの来院を指導

運動療法を主軸におきながら当グループ院、膝治療に特化した施術を実行

1週目:治療後は少し歩行時の痛みが改善し治療後の痛みのレベルは10から8に減少したが、翌日には再び10に戻る。

2週目:経過が不安定のために固定する治療法を選択。

テーピング(MCL長軸、リンパテープ)を実施し、テーピング後の痛みの増悪は見られず、ラテラルスラストも軽度改善

3週目:歩行改善と楽トレにてインナーマッスル及び内側広筋の強化を実施

ラテラルスラスト改善を図るために、ランジ姿勢で荷重時に外旋しないように内旋方向に促し、膝屈曲を10回行った。

治療後、歩行時の痛み、ラテラルスラスト、荷重時の痛みが改善し、痛みレベルは8から6に減少。

その後、施術を継続し現在の痛みレベルは2〜3で、増悪は見られていない

まとめ

現状も増悪はみられていない。

柔道に関しても少しずつ荷重をかけながらも痛みは軽度。

近々大会がある患者さんなのでテーピングをしながら疼痛を軽減していき、痛みレベル0を目指す。

その後に疼痛再発防止も今後の目標になってくる

用語解説

・ラテラルスラスト:膝が外側に押し出される異常な動き。歩行時や立ち上がるときに膝が正しく安定せずに横方向に動く状態。膝関節の不安定性や筋力の不足、靭帯の損傷などが原因で起こることが多く、適切な治療やリハビリテーションが必要。

・楽トレ:筋肉を効率的に鍛えるためのトレーニング方法で、EMS(電気筋肉刺激)を利用します。電気の力で筋肉を刺激し、自動的に収縮させることで、通常の運動よりも短時間で効果的に筋力を強化できます。特にインナーマッスル(体の深部にある筋肉)を鍛えるのに効果的で、姿勢改善や体幹の安定性向上に役立ちます。

・BOP:膝蓋跳動テスト、関節液の貯留を評価するテスト