腸脛靭帯炎:テニスプレイヤー早期改善

2024.09.04

年代/性別/職業

60代/男性/デスクワーク

初診時の状態

左膝外側部に痛みを感じて来院される。

特にテニスやゴルフをしている際に痛みが顕著にあり、テニス中には走っていると膝が抜けるような感覚がある。

見立て/治療計画

O脚が強く、大腿筋膜張筋と中殿筋の張りが非常に強い。

反り腰で胸椎伸展可動域の制限がかかっており、立位前屈後屈での可動域が特に狭く、結果股関節で動くことが多くなり、大腿筋膜張筋と中殿筋の緊張が増すため、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆との間で摩擦が生じ、炎症が起きていると考え長脛靱帯炎の可能性があると判断した。

施術内容/経過

膝周りの筋緊張の緩和のために腰下と左膝周囲(大腿筋膜張筋と中殿筋の長押し)、外側リリースの施術をスタート。

1ヶ月目:上記治療を施しながら自宅でも下半身のストレッチを積極的にやるように指導し、7割近くでプレイ可能になった

2ヶ月目:ハムストリング、内転筋、内側広筋のセットアップトレーニングを指導し、後半頃から8割プレイ可能

3ヶ月目:胸椎の可動域改善のためキャットアンドドッグトレーニングのエクササイズを指導

しゃがんだ際に違和感が残るものの9割方、ほぼ全力でプレイ可能

4ヶ月目:継続的な筋緊張緩和とストレッチ

大腿筋膜張筋の張りがほぼ消失、膝の屈伸や運動時の痛みが解消され全力プレイが可能

まとめ

競技を継続しながらの施術だったので2ヶ月目までは週2回の来院。

緩和が見られ始め、競技後の痛みレベルも低いことあり3ヶ月目から週1回の来院へ移行した。

患者さん自身が自宅でケアを熱心に行ったために施術との相互関係で改善が早期にみられた。

特に半腱様筋、半膜様筋、内転筋の筋力が弱っていたため初期から最低限の筋力をつけることが改善に大きく寄与した。

定期的なメンテナンスを続けつつ、経過観察をしていく。

用語解説

・腸脛靭帯:骨盤の外側から大腿部の外側を通り、膝の外側にかけて伸びる強力な靭帯。

歩行や走行時に股関節と膝関節を安定させる役割を果たし、腸脛靭帯の過度の使用や負担が原因で炎症を起こすと、腸脛靭帯炎(ランナー膝)と呼ばれる痛みが生じることがある

・キャットアンドドッグトレーニング:背骨の柔軟性と安定性を向上させるためのストレッチエクササイズ。四つん這いの姿勢から始まり、息を吐きながら背中を丸めて「猫」の姿勢を作り、次に息を吸いながら背中を反らせて「犬」の姿勢をとる。この動作を繰り返すことで、脊柱の動きが滑らかになり、腰痛や姿勢改善に効果的