頭痛:10年来悩まされていた頭痛改善症例
年代/性別/職業
60代 女性
初診時の状態
自覚症状として10年以上前より額(ひたい)中央部に限局的にとても強い頭痛があるとして当院に来院
額中央の限局的な頭痛とそれに伴うひたい全体の締め付け感が毎日あり整形外科、脳外科、皮膚科、心療内科、神経内科などの行ける病院は全て行ったが原因とするものは見つからない。
ペインクリニックにて額に直接痛み止めの注射を打ったが変化はなかった
痺れのような感覚もあり、頭部全体に及び首にまで波及する感覚もあるので常に痛みがある状態で温めたり冷やしたりしても変化を感じられずに当院を受診。
見立て/治療計画
動作を確認した際にヘッドフォワードにより下部頚椎の可動域が減少しており、後頭部及び首後方の過緊張、斜角筋と胸鎖乳突筋の緊張を認め、座位で頸部伸展を行った際に少し頭痛が軽減された。
頸部上方の横突起付近を把持しながら伸展助長させ、自動伸展させて数秒で頭痛が半減した。
他テストによりヘルニアの反応が薄く見られたが胸郭出口症候群陽性、頚椎症陰性などから大後頭神経三叉神経症候群の可能性を示唆
施術内容/経過
触診と主訴部位の把握から胸鎖乳突筋、後頭下筋群、頭半棘筋と仮定。
胸鎖乳突筋に関しては深層筋側に大きめのトリガーポイントを触知、後頭部の脂肪帯も大きくその下に筋硬結が広く存在していた。
治療は頸部のアライメント補正を重点におきながら頸部後方筋群と関節可動域増加を目的とし斜角筋、胸鎖乳突筋の緊張を取りヘッドフォワードの改善を図る。
治療後には一時的には頭痛は消失。週2回の来院を勧める
2回目来院時には痛みレベル5まで減少、同じ施術を続けて2ヶ月目には痛みレベル1と0を繰り返しているが日々悩んでいる状態からは気になる回数がかなり減少したとのことで引き続き根本的なアライメントを修正していく
まとめ
ヘッドフォワードが見られた際には頭部上位周囲筋群の過収縮を考える必要があり、主訴が額>頭部全体>首のため額中央の限局的頭痛、麻酔や薬が効果が感じられないことから額に起こる筋性トリガーポイントの関連領域と考えて施術内容を構築。
用語解説
・胸郭出口症候群:首や肩の筋肉の緊張、首の骨の変形または怪我によって首の神経や血管が腕の下を通る際に圧迫される状態。
腕や手の痺れ、痛みに加えてとの冷たさなどが症状として出てくる
・ヘッドフォワード:頭が前に突き出している状態をさす。長時間の座位や前屈み姿勢(画面を覗き込むような姿勢)が続くことで起こり、首や肩の筋肉に負担をかけて疲労感や背部の痛みまでもたらすことがある
・頚椎ヘルニア:頚椎(首の骨)の間にある椎間板が神経を圧迫する状態。
椎間板の内部が損傷し中央のゼリー状の部分が外側に飛び出すことで起こる
圧迫が加わることにより首や肩、腕に痛みや痺れを生じることがある。
・大後頭神経三叉神経症候群:大後頭神経と三叉神経が関連して引き起こされる頭痛や顔面痛のことを指す。
主に後頭部から側頭部、そして顔面にかけて痛みや痺れを感じることが特徴。
原因として神経の圧迫や炎症が考えられる