急激な体重減少と股関節の痛みの改善:40代女性看護師の治療体験

2024.09.03

患者プロフィール

  • 年代:40代
  • 性別:女性
  • 職業:看護師

初診時の状態

医療ダイエット(薬で食欲を抑えてダイエットする方法)により急激に11kgを減量。それにより全身の筋力が低下し、股関節の痛みが出現しました。また、右足第2趾関節を突き指したことで左足に重心をかけて生活しており、左股関節部に負担がかかっていました。左股関節の前面部に屈曲・内反、外反時に痛みと可動域制限がありました。さらに、右閉じ台形型で突き指を庇う歩き方も影響し、左足に重心がかかりやすい状態でした。反り腰もあり、腸腰筋を筆頭に全身の筋力低下が著しかったです。

見立て/治療計画

  • 見立て
    • 右閉じ台形型で突き指を庇う歩き方により左足に重心がかかり、反り腰もあるため、患部に負荷がかかりやすい状態。
    • 腸腰筋を筆頭に全身の筋力低下が著しい。
  • 治療計画
    • 股関節部の痛みを軽減しつつ、全身のアライメント(姿勢)を改善。
    • 痛みが軽減してきた段階で、下半身の筋力トレーニング(リセトレ)を導入し、筋力アップを図る。
    • 楽トレ(EMSトレーニング)を段階的に実施し、仙腸関節セットから大腿四頭筋セット、ハムストリングセットへと移行。

施術内容と経過

  • 施術内容
    • 全身の調整:全体のバランスを整えるため、全身の筋肉と骨格を調整しました。
    • 股関節の調整:股関節周辺の筋肉と関節をほぐし、痛みと可動域の制限を改善しました。
    • 薄筋の調整:特に緊張している筋肉をほぐし、痛みを軽減しました。
  • 経過
    • 1〜2ヶ月目:左股関節の痛みは改善と悪化を繰り返す状態でしたが、EMSトレーニングを始めてから痛みが徐々に減少。痛みが減少した段階で、内転筋、薄筋、臀筋部の筋力トレーニングとコアトレーニングを指導し、2週間の宿題として実施。
    • 2ヶ月目中盤以降:痛みがさらに軽減し、動作時の痛みもほぼ感じなくなりました。筋力トレーニングの負荷を増やし、無理のない範囲で継続。
    • 最終的に:股関節の痛みや違和感は消失し、患者さん自身でもトレーニングを継続する意欲を持ち、引越し先で治療を続ける予定。

まとめ

この症例からわかるのは、急激な体重減少や生活習慣の変化が全身の筋力低下や姿勢の崩れにつながり、それが痛みや可動域制限を引き起こすことがあるということです。特に、股関節の痛みや可動域制限は、筋力低下や不良姿勢によるものが多く、全身のアライメントを整えることが重要です。

急激な体重減少は全身の筋力低下を招き、特定の部位に過剰な負担がかかることがあります。適切な筋力維持と体重管理が重要です。また、日常の動作や習慣(例えば、突き指を庇う歩き方)が、特定の関節に負担をかけることがあります。生活習慣の見直しと改善が痛みの予防に役立ちます。さらに、不良姿勢(反り腰、片側重心など)が痛みの原因となることが多いため、姿勢の改善が不可欠です。

このケースでは、痛みが軽減した後も、筋力トレーニングやストレッチを継続することで、再発防止と健康維持が可能になりました。患者さん自身が積極的にトレーニングを続けることが、症状の改善と再発防止に繋がります。治療者は患者さんの状況に応じた適切な指導とサポートを行い、全身のバランスを整えることが重要です。