肩首部の痛み:運動性連鎖を視野に入れた改善症例

2024.09.03

年代/性別/職業

50代女性 DW(PCモニター4台左の2台をよく見る、キーボード2台、左手Tabキー連打で左前腕回内外多い)

初診時の状態

初診時、左頚部から肩甲骨にかけての痛みなので主訴把握をしていくと肩甲挙筋ライン上に硬結や動作痛が感じられた

肩甲挙筋の硬さが助長される要因として左肩/左骨盤上がりの平行四辺形型 / 猫背反り腰が見られ、頚椎に関してはヘッドフォワードが著名にみられた

治療後(BAS+左肩ローテ)

の好転反応(治療後の夜、痛み痺れで眠れなくなる)

がありリカバリー対応から治療に入っております。

見立て/治療計画

通常の治療に加えて肩甲挙筋の緩和を図る為に左肩ローテーターカフの治療を入れる

ただ元々の筋緊張も強い上に好転反応がみられたので2回目以降はリカバリーをいれながら様子を見て施術を開始した

左肩左骨盤上がり平行四辺形型

ヘッドフォワードの部分で上位交差性症候群、上部頸椎伸展・下部頸椎屈曲となるので左後頭下筋群に過緊張があると予測。

外因性の部分では、運動なし、DWで左前腕酷使していることから

運動性連鎖(アナトミートレイン・アームライン)での小胸筋上腕二頭筋、大胸筋広背筋ラインが起きていると予測する。

左前腕の酷使により軟部組織の硬化、マイクロトラウマ(微細損傷)、繊維化、癒着を予想。

左後頭下筋群、小後頭直筋、大後頭直筋→椎骨動脈と後頭神経が走る

小後頭直筋は深部で脊髄硬膜と連結、固有受容器(位置覚)がある

施術内容/経過

腰上の施術にして後頭直筋弱圧、頚椎の矯正に関してはC₀対応、神経ライン 左上肢、胸郭調整での治療を主軸として行っていく

神経ライン:クアドロラテラルスペース、円回内筋に反応ありなので重点おいて施術。

肋骨傾き右なので、右大腰筋、左横隔膜、左前鋸筋、左小胸筋(二頭筋で代用)、左斜角筋に調整。

3ヶ月ほどで痺れ症状が落ち着いて痛みレベル1まで回復。

まとめ

神経症状に関しては判別が大事になってくる中でどこをメインに施術を組み立てていかないといけないのかを体の構造を理解した上で施術していかないと早期回復がみられない。

また痺れの段階に入っている時点で緩和に時間がかかることを患者さんに説明して不安感が出ないように注意して対応することも回復への糸口だと感じた

用語解説

・ヘッドフォワード:頭が前に突き出した状態を指す。長時間のデバイスの使用やデスクワークなど、前かがみの姿勢が続くことで起こる。首や肩の筋肉に負担をかけ、首や背中の痛みや疲労感を引き起こすことがあり、適切な姿勢を保つことや、頭を定期的に休めることが重要

・上位交差性症候群:首と肩の筋肉のバランスが崩れることで起こる筋骨格系の問題。この症候群では、首の前側と胸の筋肉が短縮し、首の後ろ側と肩甲骨の周りの筋肉が弱くなる。これにより首や肩の痛み、姿勢の悪化、肩こりなどの症状が現れる。原因は長時間のデスクワークや不良姿勢などで、改善には姿勢の矯正と筋肉の強化・ストレッチが重要

・アナトミートレイン:筋膜のつながりを通じて全身の筋肉と骨の連携を説明する概念。その中のアームライン(Arm Lines)は、腕の筋肉がどのように連動しているかを示している。アームラインは4つに分かれ、腕や手の動きを支えるために重要。これらのラインを理解することで、腕や肩の痛み、動きの制限を改善するための治療やトレーニングに役立つ。