交通事故後の歩行困難を克服:60代女性の治療体験

2024.09.03

患者プロフィール

  • 年代:60代
  • 性別:女性
  • 職業:座り仕事

初診時の状態 

主訴は歩行時の痛み。1ヶ月半前にバス乗車中に後ろから車に追突され、バス内で転倒し左半身を強打。救急車で搬送され、レントゲンでは異常が見られませんでしたが、来院3日前から急に左半身に痛みが出現し、2日前から歩行時の痛みがかなり強くなり歩行困難になりました。来院時には跛行が見られました。座位姿勢や安静時の痛みはありませんが、腰部の左回旋で不定愁訴が見られました。左四頭筋、左内転筋、左大殿筋、梨状筋に過緊張があり、特に左薄筋のトリガーポイントの活性度が高く感作が見られました。

見立て/治療計画

  • 見立て
    • 薄筋の過緊張と歩行時の痛みから、恥骨結合の高さがずれている可能性を推測。
    • 元々あった不良姿勢が事故により悪化し、筋の活性度も高くなっている。
    • 左骨盤AS(前方回旋)が右ASISと比べて三横指以上の差異があり、優先して改善が必要。
  • 治療計画
    • 薄筋と骨盤のアライメント改善に重点を置く。
    • 大腰筋、直筋、内側筋のリリースとトリガーポイント治療を行う。

施術内容と経過

  • 施術内容
    • 左大腰筋と左大腿直筋のリリース
    • 左内側筋・左薄筋のリリース
  • 経過
    • 初回施術後:歩行時の痛みが緩和。
    • 2回目(3日後):痛みがPS5まで減少。
    • 4回目:痛みがPS3まで減少。
    • 1ヶ月後:週2回のペースで来院し、歩行時の痛みがPS0まで改善。薄筋の硬さは残存しているが継続治療。

まとめ

 交通事故後の歩行困難の改善には、股関節周囲筋と骨盤に対する早期のアプローチが重要でした。患者さんの不安要素も強かったため、メンタル面への配慮と共に治療を進めることが効果的でした。このケースは、痛みの物理的な治療だけでなく、心理的なサポートも重要であることを示しています。患者さんの不安を軽減し、信頼関係を築くことで、治療の効果が高まります