鼠蹊部関節痛の改善:腸腰筋緩和での施術例

2024.09.03

年代/性別/職業

30代/女性/エステ勤務のデスクワーク

初診時の状態

左鼠径部の股関節痛を訴え、特に歩行時に痛みが強く、ひどい時には寝ているだけでも痛みを感じる状態で来院された

見立て/治療計画

患者さんは右肩/左骨盤上がりの閉じた台形の姿勢で、矢状面の猫背反り腰、すべり症の症状が見られた。左股関節には持続的な負荷がかかり、さらに前方への強い張力が加わっていた。

パトリックテスト、ゲレンスレンテスト、トーマステストの陽性がみられた為に腸腰筋の影響が大きいと考える

施術内容/経過

通常治療に対して両腸腰筋、薄筋、左腹直筋のリセットトレーニングを組み立てながら楽トレを使用したインナーマッスルの強化を入れた

特に腸腰筋の緊張が強かったため、両腸腰筋に持続圧をかけて弛緩を目指すことにより、3回の施術後には痛みレベルが2にまで減少した。また、大腰筋のストレッチと正しい座り方の指導も行った。

まとめ

すべり症もあるため、股関節の施術は慎重に行い、適切なテストを通じて問題を鑑別した。大腰筋にアプローチすることで、骨盤の傾斜からの改善に繋がり、患者さんの姿勢の核となる部分が大腰筋であることを再確認した。

左鼠径部の股関節痛の改善には、腸腰筋へのアプローチが重要で、姿勢の調整と筋肉の緊張緩和を優先的に行うことで、痛みの軽減と日常生活の質の向上が実現した。患者さん個々の症状に合わせたアプローチが重要であり、今後も継続的な評価と治療を通じて、さらなる改善を目指していく

用語解説

・リセットトレーニング:筋肉や関節のバランスを整えるための運動法。日常生活やスポーツによる偏った動きや姿勢をリセットすることで、身体の歪みや緊張を解消。これにより、怪我の予防やパフォーマンスの向上が期待でき、特に運動の前後に取り入れると効果的

・パトリックテスト:股関節や仙腸関節の痛みを評価するための検査。患者は仰向けに寝て、検査する側の足を反対の膝の上に置き、股関節を外転・外旋させる。この状態で膝を押し下げ、痛みの有無や場所を確認。股関節や仙腸関節に異常があると、痛みが誘発されることがある

・ゲレンスレンテスト:仙腸関節の異常や炎症を評価するための検査。患者はベッドの端に仰向けに寝て、片足を胸に引き寄せ、もう一方の足をベッドの外に垂らす。この状態で垂れ下がった足をさらに下方向に押し、仙腸関節に痛みが生じるかどうかを確認します。痛みが出る場合、仙腸関節に問題がある可能性がある。

・トーマステスト:股関節の屈曲拘縮や腸腰筋の短縮を評価するための検査。患者は仰向けに寝て、片膝を胸に引き寄せて保持する。この状態で、反対側の足がベッドから浮くかどうかを観察する。もし反対側の足が浮く場合、その側の股関節の屈曲拘縮や腸腰筋の短縮が疑われる

・腰椎すべり症は:腰椎椎体が正常な位置からずれる状態を指す。この状態は、腰椎の椎体が前方に滑り出る前彎すべり症と、後方に滑り出る後彎すべり症に分かれます。通常、腰椎すべり症は痛みや神経症状を引き起こす可能性があり、放置すると悪化することがある。