膝痛改善記録:半月板損傷と鵞足炎の治療プロセス

2024.09.04

年代/性別/職業

40代/女性/デスクワーカー

初診時の状態

右膝内側裂隙と左鵞足部の痛み:歩行時や階段の上り下り、長時間の立位で痛みが発生。

筋硬結:左鵞足部(縫工筋に硬結あり)。

姿勢の特徴:左肩上がりの平行四辺形型、猫背骨盤前型。

徒手検査結果

右膝▶️内側ストレステスト(-)、圧迫アプライ・マックマレー(+)

左膝▶️内側ストレステスト(-)、圧迫アプライ・マックマレー(-)

弱化筋:大腿四頭筋、縫工筋

見立て/治療計画

右膝:半月板損傷と病院でも診断をされていたために徒手検査にて確認。弱化筋の影響で立脚中期にラテラルスラストが発生。

これにより半月板に常に負荷がかかり、すり減りが生じていた。

左膝:縫工筋の硬結が著名で滑走が低下し、滑液包などに炎症が発生

アライメント修正:縫工筋や薄筋の硬結を取り、柔軟性と滑走度を向上。

施術後には痛みは軽快するが体重がかなり重めの方なのでまずは痛みレベル5を目指し、安定が図れるようにしていく。

痛みが減少してきた際に筋力強化を視野に入れながら施術を開始

施術内容/経過

両側の膝の痛みになるので腰から下の膝関節への施術を中心に組み立てながら右側に関してはラテラルスラストを抑えながら体重を載せて膝の屈曲を流すような施術を入れる

2ヶ月目経過:痛みレベル5が定着し始めるが再度体重の増加が見られ、ひどい時はレベル9にまで上昇

4ヶ月目経過:痛みレベルが高いとできなかったがタオルギャザーや押しつぶしを指導し始めて通常時は痛みレベル2、ひどくなっても痛みレベル5と症状の緩和が見られる。

そこから本格的な筋力強化のためにファストトレーナーでのトレーニングを導入

痛みレベルはひどい時で2程度。

ラテラルスラストや階段の痛みはほぼ消失。ただし完全に膝を曲げた際の不安定感は残るのでメンテナンスを含めてみていく必要がある

まとめ

初期段階では半月板損傷や炎症の影響もあり、自動での屈伸運動もしにくかったのもあり運動系は計画的にいれようと初診時より目線合わせを行い、柔軟性や滑走度の向上に重点を置いた。

痛みレベルが半数以下になったのを基準にファストトレーナーを導入することで効率的に筋力強化を鍛えて不安定性を解消することで関節内の手助けをしてくれることを実感できた。

用語解説

・​​関節裂隙:関節の構造において、骨と骨の間にある空間のこと。この隙間には関節液が含まれており、骨同士が直接擦れ合うのを防ぎ、滑らかな動きを可能にする。

健康な関節では、この裂隙が適切に保たれているため、痛みや摩耗が少なくスムーズな動きができる。関節炎や加齢による変形性関節症では、この裂隙が狭くなり、痛みや動きの制限が生じることがある。

・ラテラルスラスト:膝が外側に押し出される異常な動きのことを指す。これは歩行時や立ち上がるときに、膝が正しく安定せずに横方向に動く状態。ラテラルスラストは膝関節の不安定性や筋力の不足、靭帯の損傷などが原因で起こることが多く、適切な治療やリハビリテーションが必要

・圧迫アプレイテスト:膝関節の半月板損傷を診断するための徒手検査。患者はうつ伏せの状態で膝を90度に曲げる。検査者は足首を握り、膝に圧力をかけながら足を内側および外側に回転させる。

このとき、痛みや異常感があれば、半月板損傷の可能性が考えられる

・マックマレーテスト:膝関節の半月板損傷を評価するための検査。患者は仰向けに寝た状態で行い、検査者は膝と足首を持ち、膝を曲げたり伸ばしたりしながら、足を内側および外側に回旋させる。この動作で「クリック」音や痛みが生じた場合、半月板損傷の可能性が考えられる